身代わり少女は主人を慕う

でも、それも無駄のようだった。

奥様の引き留めた手を、隆一郎さんは優しく振り払った。

「どうか、音羽さんのお気持ちを、大切にしてあげて下さい。」

そう言って隆一郎さんも、部屋を出て行った。


「そんな……そんな……」

奥様は、その場に座り込んでしまった。

家の威信をかけたお見合いが、まさかこんな形で駄目になるだなんて、奥様は予想もしていなかっただろう。

直ぐに立ち上がって、音羽さんの腕を掴んだ。

「待って下さい!」

「いいえ!これが待っていられますか!」

奥様は音羽さんを連れて、廊下に出た。


どうする気なのだろう。

私とはやてが見ていると、どうやら音羽さんの部屋に、彼女を連れて行く気だ。

「もしかして奥様、音羽さんだって、気づいてないんじゃないのか?」