身代わり少女は主人を慕う

その時だった。

「うたさん、後は任せて。」

私の後ろから、スーッと人影が出て来た。

見ると、長い黒髪の”りぼん”が良く似合う、ご令嬢だ。


その後ろ姿を見て、一目で分かった。

「音羽さん?」

私の呼びかけに、音羽さんは振り向くとニコッと笑ってくれた。


帰って来てくれたんだ。

私は腰が砕けて、廊下に座り込んでしまった。

よかった、帰って来てくれて。

これで、恥をかかなくて済む。

お相手の家の方も、騙さずに済む。


「間に合ったか?うた!」

庭からはやてが、飛び出してきた。

「うん!」

私は、はやての手に捕まって、立ち上がった。

「よかった、間に合って。」

はやては、急いで来たのか、息があがっていた。

「しかしあのお嬢様、肝が据わってるぜ。」

「えっ?」