彼の結婚、私の今後。【短編】

この疑問が私の判断を狂わせたといっていい。日曜日当日を迎えてしまった。
この日も頗る快晴で、同じように皮肉ったようにじりじりと肌を焦がしていくのがわかる。駅前で、何度も後悔して、家に帰ろうか、そのまま残ろうかと落ち着かずうろうろしていた。

「なつき」

手をひらひらさせて、こちらに歩いてくる。思わず直視してしまう。二人の男女とこどもが一人。完全に親子に見えてしまって。

「こちらが、佐藤詩織さん。で、この子がりんちゃん」

「はじめまして詩織です、ほら、りん挨拶なさい」

「はじめまちて」

舌っ足らずで、人形を抱きしめながら恥かしそうに挨拶をしている。
思わず頬が綻んでしまう。

「はじめまして、望月なつきです」

よろしくね、りんちゃんと屈むと嬉しそうに人形に顔を埋めて
「モチさん…」
と呟いた。

愛おしくなって、頭を撫でた。その様子を二人は見下ろしていたがどんな表情をしているのか、見上げることはできなかった。