彼の結婚、私の今後。【短編】

「いないよ。みんな結婚していくから、そういえばお母さんらはどうなんだろうと思って」

母親にも父親にも、二人の出会いなども、興味がなかったわけではない。
ただ自分の母親像や父親像が崩れる気がして。

んーと悩んだような唸り声をあげる母親がどんな言葉を紡ぐのか想像もできなかった。

父親はなんというか寡黙で見守っていくタイプだろうが、なにを考えているのか聞かないとわからないタイプだった。

「あんまりにも不器用に生きているから、この人私いないとだめだなと思って」

「例えば?」

「言葉少ないけど誠実でしょう、でも自分の家族にさえも分かってもらえることが少なかったんだろうなと思うと、傍にいなくっちゃって」

たしかに父方の家族とは疎遠なのだ、今まで勘違いをしていた。

母親とのことで、うまくいっていないとおもっていたが実は父とは。

「勿論、当時から三高といって高身長、高年収、高学歴は注目の的だったし、狙いに行っている子もいたかもしれないけど。何十年も一緒にいるんだから、一番傍にいたい人と結婚してうまくいかなければまあそのときはそのときで」

おおらかで大雑把な母親らしい回答である。
じゃあ、また、と言い電話を切ったあとにまた新たな疑問が出てきた。
もし、結婚するなら。どんなことを思って結婚したいと思うんだろう。