彼の結婚、私の今後。【短編】

「私は傑に恋をしていた、というより情があったと思っていた。でも、結婚するってなって、さみしく思った。すきなのかもしれない」

すき、言葉にしたら案外しっくりきた。そうか、わたしは彼の、傑のことが好きなのだ。
自覚した今更な恋は口から飛び出て止まらない。

「今回の決断、すぐるらしいと思った。過去の話をきいていなくても、なんとなく納得はしていた。でも心がおいつかない、だって、今から酷いこと言うけれど、彼女生きたままだったら私は、不倫相手じゃない…」

両想いなのに不倫相手。他の人にいったら、次に行けといわれるかもしれない。
知り合ってから燻って、弾けるまでが長かった。せきを切ったように流れ出して。
こんなことあんまりだ、だけど、こんなことなかったら。
彼の本音や生い立ちは聞けなかったかもしれない。
私たちにとって必要なことだったと気づく。

傑は黙ったままただ、ごめんと何度もいって掻き抱いた。
跡が残るくらいに強く抱きしめられた。
母が言っていた、結婚した条件。ああ、遺伝子はしっかり受け継がれているらしい。
我慢するから、提案した。