初めて彼の部屋を入った感想は、殺風景だなと思った。
間違いが起きたとき、ホテルか、私の部屋だった。間違いを起こした後、彼と私はいつも通りにしようと努力して、どうにもならなくて、いつも一定期間音信不通にしてしまう。ほとぼりが冷めた後、どちらともなく誘う。全部、なかったことにして。
ベッドと、本棚、冷蔵庫、ローテーブル。本当にそれだけで、どこに腰をおろしていいのか悩んでいると。彼はどこからかタオルを持ってきて、床に敷いた。
「クッションとか座布団、なんにもなくて。よかったら使ってほしい」
「ありがとう」
「飲み物も水しかなくてごめんね」
コップはかろうじてあるといったが、紙コップだ。促されたように、タオルの上に座り、水を一口いただいた。
私はすこぶる不安になって、早速本題に切り出した。
「本当にりんちゃんを育てるの?あなたが?」
「そうだよ」
「こんな生活感のない家で?覚悟が足りないんじゃない?」
う、とつまったように苦しそうな呻きが聞こえた。眉間によった眉は垂れさがってはいるものの、意思は固いようで言葉は強い。
「これから、そろえていく予定で」
彼女が私に託した意味。これは私が育てるということではなく、この男の覚悟を見定めてくれということだったと思う。彼女はなにをもって、合格をあげたのかはわからないが、私は誰よりも彼に審判をくださないといけない立場である。それが、彼女にとっても、りんちゃんにとっても、彼にとっても大切なことだと思うから。
間違いが起きたとき、ホテルか、私の部屋だった。間違いを起こした後、彼と私はいつも通りにしようと努力して、どうにもならなくて、いつも一定期間音信不通にしてしまう。ほとぼりが冷めた後、どちらともなく誘う。全部、なかったことにして。
ベッドと、本棚、冷蔵庫、ローテーブル。本当にそれだけで、どこに腰をおろしていいのか悩んでいると。彼はどこからかタオルを持ってきて、床に敷いた。
「クッションとか座布団、なんにもなくて。よかったら使ってほしい」
「ありがとう」
「飲み物も水しかなくてごめんね」
コップはかろうじてあるといったが、紙コップだ。促されたように、タオルの上に座り、水を一口いただいた。
私はすこぶる不安になって、早速本題に切り出した。
「本当にりんちゃんを育てるの?あなたが?」
「そうだよ」
「こんな生活感のない家で?覚悟が足りないんじゃない?」
う、とつまったように苦しそうな呻きが聞こえた。眉間によった眉は垂れさがってはいるものの、意思は固いようで言葉は強い。
「これから、そろえていく予定で」
彼女が私に託した意味。これは私が育てるということではなく、この男の覚悟を見定めてくれということだったと思う。彼女はなにをもって、合格をあげたのかはわからないが、私は誰よりも彼に審判をくださないといけない立場である。それが、彼女にとっても、りんちゃんにとっても、彼にとっても大切なことだと思うから。

