彼の結婚、私の今後。【短編】

お待たせしましたと、アイスコーヒーとプリンがやってきて、りんちゃんはプリンを喜んだ。零さないように、首元にハンカチをいれてもらいスプーンで食べさせてもらおうと口を開けている。起用に小さく、佐藤さんはスプーンで掬って、りんちゃんの口元に運ぶ。
彼は閉ざしていた口を開けた。

「佐藤さんは二か月以内に死んでしまう、もう限りない命なんだ」

鈍器でなぐられたかの衝撃を受けた。

「明日籍をいれて、最終的にりんちゃんを引き取る予定だ」
彼女もまた、頷いた。重苦しい空気が耐えきれなくて、りんちゃんの姿を見る。無垢で、口周りにたくさん食べこぼしをつけて、彼女は自由だった。

「私の元旦那は家族に私に暴力を振るい、そしてとうとうりんにまでその暴力が及ぶとなって離婚になりました。ただ私は母親も父親も頼れるあてというものがなく、このまま行けば孤児院に彼女は行くことになる。勿論、そうなるのが当然なのでしょうが…」

選択肢ではなく強制、眉根を寄せて今にも泣き出しそうな表情に、思わずハンカチを差し出す。ありがとうございます、とそっと瞼をおさえていた。

「孤児院を見学していたんです、そしたら、彼がいて話を聞いてくださって」

彼は小さく笑って、

「俺の実家なんだ。一年に一回、少額だけど寄付して、当時の先生たちに挨拶してるときだった」

「そしたら、一緒に病院にいってくれたり、りんにもよくしてくれて…自分から引き取ろうかと。流石にあって間もない人間を信用することはできません、だってもしいたずら目的だったら、死んでも死にきれなくて。だから一番信頼している人間に会わせてほしいって頼んだんです」