「俺の事はさん付けなのにそいつのことはくん付なんだ?そんなやつ、俺が忘れさせてやるよ」


そう言って俺は、人前も関係なく桜十葉の唇に触れるだけのキスをする。それだけでは満足出来なくて、大人の方の深いキス。


「んっ……、んぁ……」


桜十葉の口から漏れる甘い声に俺の理性が掻き立てられる。その甘い声、無意識なのか?

だとしたらそーとーやべぇよな。

さっきから人の視線がやばいくらいに集まっているのは分かっているけれど、この条聖学院とやらの生徒たちに桜十葉は俺のだと見せつける。


「んっ、……も、げんかい……」


桜十葉は腰が抜けてしまったのか俺の胸に倒れ込んできた。


「続きは俺の家でしよっか?ほら抱っこしてあげるから」

「む、……おんぶ!」


抱っこ、嫌だったかな。

でも、そんなことで不貞腐れる桜十葉、可愛い。


「はいはい。しっかり掴まっててね」


俺は一度しゃがんでから、俺の背中に乗った桜十葉の裏ももに腕を回して立ち上がる。

持ち上げた体は予想以上に軽かった。桜十葉はスタイルいいもんなぁ。

桜十葉はきっと、自分がモテていることに気づいていない。

さっきだって色んな男が桜十葉のこと、顔を赤くして見つめていた。そんな虫けらどもを殺したいという衝動を必死に抑えていた訳だけど……。

桜十葉は気持ちよさそうに俺の肩に顔を埋めた。