スカーレットの悪女

「変わってんなあ、物珍しさもあるんかな」

「たぶん、気に入られようと思って振舞ってないから」



とりあえず地頭はええけど時々バカになるのは分かった。


そう結論づけたのを覆すような覇気のない笑顔はなんなん?お前、いったい何考えてん。


笑い方に違和感を覚えたその時、後ろから腕を回して誰かに肩を組まれたことに気がついた。



「雅ぃ、俺の実莉に粉かけるなんていい度胸やな」

「大希さん……」



上から大希さんの声がしたから実莉に注目するのはやめた。


こんなに早く戻ってきたってことは丞さんの部屋にたどり着く前にどっかで会ったんかな。


首をひねると大希さんのななめ後ろに丞さんの姿を確認した。


やっぱり途中で会うとったか。もしかしたら元凄腕スパイのことやから、さっきの大希さんの大声だけで状況が好転したことを察して出てきたんかもしれん。



「で、なんの話してたん?俺も混ぜてや」



大希さんと目を合わせんもんやから不審がって再度声をかけてきた。


ちょうどいい機会や。実莉の考えてること間接的に探ってみよ。