スカーレットの悪女

「んぁぁ実莉ぃ!やっと会えたのに態度悪くしてごめんなぁ!」

「うるさいしそこでモゴモゴ喋られるとくすぐったい」



大希さんは実莉に覆いかぶさるように抱きつき、胸に顔を擦り寄せてはる。


異様な甘え方に実莉は何かを察したらしく、大希さんの頭を撫でてやってはおるけど塩対応。


おい全力で甘やかせや。さっきの修羅みたいな大希さんに戻ったらどうするん。



「気分最悪やったんに、もうどうでもよくなったわ。実莉大好き……」

「イライラしてる時は当たり散らさないで私に甘えて」

「なんなん?今日の実莉天使すぎ」


適当な対応されても大希さん的には実莉さえおれば丸く収まるらしい。


天使の割には生意気すぎるけどまあええわ。とりあえず助かった。


嵐は去ったと判断して俺は部屋の敷居をまたいでふたりに近づいた。


すると実莉と目が合った。寝そべりながらグッと親指を立てて、まるで任務完了とでも言いたげにこっちを見るから、笑ってしまった。


すっかり元通りになった大希さんは笑顔で起き上がると「実莉といちゃいちゃしたいからあとちょっとだけ仕事してくるわ」と気合を入れて丞さんの部屋に向かった。


丞さんびっくりしはるやろうな。さっきまで憤慨してた人が満面の笑みで登場したら。