スカーレットの悪女

実莉にプロポーズしてから3日後。昼過ぎに家に帰るとなにやらリビングが騒がしい。


でっかい声のおっさんとおばはんの声。絶対俺の両親やん。


さては実莉にプロポーズしたって聞いて普段滞在しとる海外の別荘から文字通り飛んで帰ってきたんやな。



「プロポーズ受け入れたってほんま!?」

「いやあ、大希が結婚なんて夢にも思わんかったわ」



そっと覗くと身振り手振りがいつもより大袈裟な親父と母ちゃん。


実莉は2人に囲まれて中心で笑ってる。照れたように笑うのかわええわ。


はにかむ姿に釘付けになってると、親父は「うーん」と腕を組んでうなった。



「嬉しいけどほんまに大希でええん?あいつかなりひねくれてんで」



絶対余計なこと言うと思った、親なら子の肩持てや。



「まーた俺の実莉に粉かけてん?今から出かけるから解放してやって」



そもそも俺が家主なんに物陰に隠れるのはおかしいやろ。気がついて勢いよく飛び出した。



「聞いたで大希!えらいキザなプロポーズしたらしいやん気は確かか!?」

「声でかいねん、デリカシーどこに置いてきたんドMクソ親父」

「デリカシーもクソも言ってられるか、一大事やお前が結婚なんて」

「あーもう、うるさいうるさい。実莉行こうや」



俺と目が合った瞬間食ってかかるように親父はまくし立てる。


うざいわ、何回言わせんねん。俺は相手が実莉やから結婚するんやって。


実莉の肩を抱いて連れていこうとすると、実莉は俺の顔をぽかんと見上げながら首を傾げた。


プロポーズしてから俺に対する警戒心は溶け去ったらしく、こういう気の抜けた顔をしてくれるようになった。


それはそれで加虐心を煽られるっていうか、主に下半身が暴走しそうになるから勘弁してほしいんやけど。


「どこ行くの?」

「結婚する実感をしてもらうためにお出かけ」

「結婚する実感?」



立ち止まるとまた親父たちに捕まるから歩き出す。実莉は不思議そうな顔をして左手の薬指を見つめた。


「婚約指輪もらったらもう十分だと思うけど」

「いやいや、もっとたくさんあるやろ」



夢見がちな10代のくせにもう満足なん?実莉のことやからこうしろあーしろってもっと欲張りに指示して来ると思ったのに。


それとも元々あんまり欲ないんか?これまでは壱華を守るために悪女を演じる場面が多々あったからそう振舞ってただけで。


「まあ、実莉はノリいいから大丈夫やろ」

「なんの話?」

「向こう着いてのお楽しみ」



まあ、実莉の本心を探ろうと急がんでも、実莉は嫁として俺のそばにずっとおってくれるから問題ないか。