確かに志勇は束縛すごいもんな。


運命の相手の壱華だから問題ないけど、私だったら絶対耐えられない。


逆に絶対運命ではない私と大希が結ばれて大丈夫なのかな。



「そんなこと言ったら月一で帰るけど?」

「逆に月一でええんや。週一とか言うかと思った」



そりゃ私だって週一で帰りたいけど、おそらく志勇はこの1か月以内に壱華にプロポーズして結婚式をあげるはず。


その後の新婚の2人を邪魔する訳には行かないし、月一の帰省が妥当だろう。



「しばらくお別れや、達者でな実莉」



ようやく自分の立場を理解した矢先、ここで大希とお別れらしい。


大希は別れの言葉を告げると少しさみしそうに笑った。


出会った頃は恐怖の対象でしかなかったのに、まさか恋仲に発展するとは。


事実は小説よりも奇なりというけど、小説の世界に転生してきて一番衝撃的で奇っ怪な恋物語が幕を開けようとしている。


まさか姉妹揃って裏社会の頂点に立つ男に惚れられるとは。


これからどうなるんだろう。私は想像のつかない今後の展開に漠然とした不安を抱えながら大希を見送った。