「それじゃあ、1か月後迎えを寄越すから」



帰る準備を済ませた大希は、スッキリした顔で私の頭に手を置いて笑う。


ぐぬぬ、やり切ったって表情しやがって。



「1か月の間に興味を失ってくれますように」

「やっぱ今すぐ連れ帰ったろうか」

「そんなことしたら嫌いになるから。一生大希に心開かないから!」

「あっは、最後まで実莉らしくてええなぁ」



余裕の笑顔を崩したくて意地悪を言ったけど、大希の方が一枚上手だった。


私の前ではいっつもにやにやしてる印象だから、無表情で脅されると怖いんだよ!



「早く帰りなさいよ大阪に!」

「帰るけどさみしいからマメに連絡して。あと、都合いい時電話しよ」

「あんたマジで誰ぇ!?」

「俺もこんな実莉にのめり込むなんて思ってへんかったわ」



それにしても別れ際でもよく喋る男だな。


まあ、私も同じくらい喋ってるか。



「けど、俺はそこの嫉妬深い狼みたいに厳しい束縛はせえへんから。大阪来てもいつでも東京に帰ってええよ」



大希はちらっと志勇に注目して、それから私に目線を戻した。