side 実莉


風が強い日だった。


その日はなんと、荒瀬志勇が直々に壱華に会いに来る予定だった。


まさかこんなことになるなんて。


本来の世界線の流れと狂いすぎて、もう今後の展開が予測つかない。


悪い方向に転ばなければいいけど。それだけが心配。



「壱華、ただいま」



壱華に志勇が会いに来ることを伝えたら、嫌な顔せずに私たち姉妹の将来のためなら、と了承してくれた。


原作通り、いや原作以上に、健気で優しくて芯のある強い子に育った壱華。


そんな壱華が運命の荒波に翻弄されて、これから辛い目に遭うなんて想像したくない。