実莉として生を受けて17年。ここまで制御不能の男に出会ったのは初めてだ。


好意を向けてくる男に対して私なりに壁を作って一線を超えないようにコントロールしていたはずが、大希だけには通用しない。


実のところ、理叶と光冴の好意には気づいていた。


だけど気づかないふりをしてうまく衝突を避けていたのに、大希の前ではそれができない。



「冗談でしょ、勘弁して」

「朝、壱華に相談して、回りくどいことせんと直接伝えた方がええってアドバイスもらったから」



のらりくらりとかわして難を逃れてきた経験がまったく役に立たない。


しかも壱華にアドバイスもらったってどういうこと?


壱華が協力したいと思えるほど、大希は私に対して真剣なのだろうか。



「実莉、好き。俺が一生護ったるから、伴侶になって一緒に生きよう」



ついにはっきりと言葉にされ、それだけ本気なのだと伝わってどうしていいのか分からなくなってしまった。



「あ……ありえないから!」

「ちょっと迷ったやろ、もう一押しやな」



すぐ我に返って声を張り上げたけど、目に見えて分かる動揺に大希は満足そうに笑う。


大きな手をそっと私に伸ばすと、胸の前に持っていたケースからネックレスを取り出した。


そして背後に回り、頭上からネックレスを持った両手が迫って来た。