side 実莉


気が付くと、目の前に優人が立っていた。


彼は私に向けていた銃口を自分に向け、儚げに笑う。


『おかげで覚悟ができた』


何度この光景を繰り返しただろう。


いくら手を伸ばしても届かず、景色が一変して赤く染まっていく。


結局私は、運命を変えると豪語しておいて誰も救うことができない無力な人間なのだ。



「……」



目を開けると、真冬だというのに信じられないくらい寝汗をかいていた。


心拍数も早くなっていて、心音が静かな部屋の中で響く。


大阪に来て3日目、私は悪夢にうなされていた。