side 志勇



壱華が傍にいない朝を迎えるのは今日で二度目。


起き上がると撃たれた箇所に痛みを覚え、虚しさと怒りが胸に広がった。


壱華を奪われた怒りは未だ胸の奥をほとばしっている。



「兄貴、生きてる?」



本家の離れにある自室で、うめき声を漏らしながら立ち上がろうとするとドアが開いた。


入ってきたのは、あの襲撃で唯一無傷だった颯馬だった。



「壱華を奪還するまで死ねるか」

「その気持ちは分かるけど、足の甲に穴が空いてんだから歩くのはやめた方がいい」

「じっとしていられるかよ」



一歩進む度撃たれた左足が鋭く痛み、息をするだけで弾丸が残っていた背中に激痛が走る。


颯馬は脂汗をかきながら歩く俺を見て深くため息をついた。