side 実莉



夏を過ぎた頃から、極山の動きがぱったり止んだ。


あの襲撃が嘘のように静かになり、鳴りを潜めている。


動向を伺っているうちに、季節は巡って冬になり、12月らしい身を刺すような風の冷たさに凍える毎日。


だけど今日は、12月27日に来る志勇の誕生日のために壱華がプレゼント選びに行きたい、というから張り切って早朝から起きて準備をして、志勇の家にお邪魔していた。



「壱華、会いに来たよ!……あれ?」



元気いっぱいに腕を広げてリビングに突入すると、リビングのソファに足を組んで座って、タバコを吸っている志勇の姿が目に入った。


そっか、そういや志勇は喫煙者だった。


壱華があんまりタバコが好きじゃないから、吸ってるところ見てなかっただけで。



「早ぇよ」



志勇は私の姿を見ると、灰皿に灰を落とし、口から紫煙を吐き出しながら不機嫌に顔をしかめた。