「……警視監という立場から引きずり下ろしてよろしいのですか?」

「俺たちとの繋がりが詮索されなければそれでいい」



探り探り会話を広げるうち、この男は警察に頼らずに裏社会を混沌に陥れるつもりなのだと悟った。


その危険思想を実現させてたまるか。



「仰せのままに。彼には個人的な恨みがあります」

「上等だ。その後はうちで拾ってやる」

「ありがとうございます」



そもそも私など、事が終われば廃棄処分する魂胆だろう。


しかし私は覇王の犬。魔王の使い捨ての駒になるつもりはない。


雪辱を果たし、勝つのは我々だ。


そのために魔王を欺き、帝王すら利用する手筈は整っている。


今に見てろ、お前がそこでふんぞり返っていられるのも今の内だ。