「ガサ入れてもなんも出ねえぞ」



オフィスの奥には重厚な革のソファーとローテーブルが置かれていた。


その周囲には警戒するように組員が数人立っていて、その視線の中央にスーツ姿の黒髪の男がソファーに座って何か書類に目を通していた。


……この男が佐々木。顔立ちについては言及されてなかったけど、顔を上げると眼光が鋭くて私は少し後ずさりした。


日本人らしいというか、どこにでもいそうな顔だけど、その目つきは驚くほど冷徹だ。


そもそも、ヤクザに囲まれながら悠々と書類を読んでる時点でおかしいとは思ったけど。


この男、メンタル面が異常だ。