荒瀬組の事務所はいくつかあるらしく、志勇が出入りしている事務所は風俗店が立ち並ぶ繁華街の路地裏に入った所の7階建てのビルだった。


外壁は闇に溶ける黒。ガラスは外から中の様子が見えない仕様になっている。


なんとも危険なにおいがプンプンする建物だ。いかにもヤクザ事務所って感じ。


車から出た志勇は壱華と並んで事務所に入ったから、私もその後に続いた。



「わ、若!?ごくろうさまです」

「あ?」

「すみません、まさか今日いらっしゃると思わなくて」



事務所の中は一見して普通のオフィスと変わらなかった。


中にいる男たちが屈強すぎるということを覗いては。