「……あれ、志勇?」

「壱華、迎えに来た。帰ろう」

「んー……帰らないよ。まだ1週間経ってないもん」

「もう限界なんだよ……」



志勇が王子なら、キスで起きた壱華はさながらプリンセス。


でも王子のはずの志勇は、よく見ると目の下にクマをこしらえて不健康そうだ。


もしかして、壱華がいないから眠れなかったの?


ははっ、ちょっと可哀想だけどざまーみろ!



「壱華ちゃん、俺からもお願い。早く帰ってきてくれないと俺と剛はストレスで胃に穴が空きそう」



寝起きでニヤリと笑うと、ドアの向こうからひょっこり颯馬が現れた。


すっぴんで邪悪な顔をしているなんて見られたくなくてとっさに顔を隠した。