パパは膵臓がんだった。


発見された頃には末期と呼ばれる状態で、余命は3か月だと宣告を受けた。


私と壱華は毎日泣いて過ごして、1か月後にようやく立ち直って前を向くことにした。


笑顔でパパを見送ろうって2人で決めた。


だからもう泣かない。



「パパ、来たよ」



だけどパパは、余命の3か月を過ぎても生きていた。


5か月が過ぎた頃、私一人だけ入院している病院に呼ばれた。


病気が発覚したのはまだ暑い頃だったのに、季節はもう冬。


雪が降りそうな曇り空の下、太陽の差し込まない病室では、お父さんの身体が痛々しく見える。


がんの進行によってやせ細った身体。


だけど目の光だけは衰えなくて、生にすがりついているように見えた。


何かを伝えたいんだ。そして今日、それを私に託す気だと、心構えをした。