「理叶、自分を責めないで」

「……」

「話してくれてありがとう。苦しいよね、つらいよね……でも、悪いのは極山だよ、理叶のせいじゃない。自分を追い詰めないで。追い詰めたところで、あの子はもう戻って来ない」



あえて優しい声かけではなく、厳しい口調で語りかける。

だって今の理叶に必要なのは、慰めではなく前に進む勇気だ。


理叶は私の言葉を受け取ると、ピタリと動きを止めた。そしてしばらくして、深く息を吸い込むと、今度は精悍な顔つきで私を見た。



「……実莉、ありがとう」



少しでも理叶の心のわだかまりを解くことができただろうか。


分からないけど、理叶が優しく微笑むから、私も精いっぱいの笑顔で応えた。



「理叶、飯もらってきたから少しでも食え……ん?」



その時、突然部屋の扉が開いて、カゴを持った光冴が部屋に入ってきた。


光冴は抱き合う私たちを見てフリーズしている。


やばい、変な誤解を招いたかも!