こうなってしまえば、私の身代わり作戦も無駄足だった。


でも本当は、最初からそんなの通用しないって分かってた。


だって壱華は、秘密の鍵である本当の母親に瓜二つだから。


壱華の秘密はその出生にある。


情報が命である裏社会では、その秘密を紐解くのも容易なことだろう。


ここで万事休すか。私の気持ちも陰りだした時、理叶が口を開いた。



「あいつは、俺が殺したようなもんだ」

「……どうして?」

「違和感に気づいていれば、俺の立場なら助けてやれたのに。その後悔がずっと頭の中に渦巻いて……苦しい」



苦しいと顔を歪める理叶。


いたたまれなくて、気がつけば私は理叶を抱きしめていた。