「とはいえあと30分あれば本家に着くと思います。その前に凛太郎を迎えに行きますか?」

「あ、はい。そうですね」



司水さんに促されて、凛太郎の居る場所に向かう。



「凛、ただいま。一日限定の憂雅くんのお兄ちゃんになってくれてありがとう」

「ああ、おかえりなさい。楽しかったみたいで良かったです」



司水さんの書斎の引き戸を開けると、凛太郎は憂雅くんを膝の上に乗せて絵本の読み聞かせをしていた。


てっきり知らない環境に放り出した挙句遊びに出たから文句言われると思ったけど、凛太郎は笑顔で出迎えてくれた。


司水さんは「ご覧の通りすっかり懐いてしまいまして」と笑いながら憂雅くんを抱き上げる。