「おかえりなさい、壱華様、実莉さん」

「ただいま戻りました」

「ただいまです司水さん!」



日が暮れる前に本家に戻ると、司水さんが出迎えてくれた。

壱華は丁寧にお辞儀をして、私も元気にお辞儀で答える。



「早めのお帰りのところ申し訳ないのですが、志勇がまだ帰って来ていないのでもう少々お待ちいただけますでしょうか」

「分かりました、大丈夫です」

「やったぁ!壱華との時間が増えた」



丁寧な対応を心がける壱華に対して、私はキャッキャとはしゃいで喜びを表現する。


司水さんはそんな私を見て目を丸くした後、優しく微笑んだ。


その柔らかい視線にパパを思い出して、そういえばそろそろ初盆か、と不意に現実に引き戻された気分だった。