「実莉はすごいね」

「何が?」

「実莉がいると明るくなる。わたしも実莉みたいに、自然と周りを笑顔にできるような素敵な人になりたいな」



首を傾げたら、衝撃の言葉がその口から飛び出してきた。


壱華は私の憧れだったから、そう思っていたなんて知らなかった。



「私も壱華みたいに優しくてみんなに尊敬される素敵なレディになりたい!」



憧れの存在に畏敬の念を抱かれているのは不思議な感覚だ。


だけどそれ以上に嬉しくて、私は車内で壱華に抱きついた。



「こーら、危ないからちゃんと座れ」

「ちょっと力さん、空気呼んでよ!私は感動してるの!」

「ほんっとシスコンだな」



子どもに叱る時みたいに力さんには怒られたけど、最終的に笑われた。


周りが笑顔っていうか、ヤバいやつだなと思って笑われてるだけと思ったけど違うのかな。


ふと壱華の顔を見上げると「わたしたち、似たもの同士だね」と壱華は笑っていた。