「やばっ!理叶の部屋から着替え持ってくる!」

「いや、別にいい……」



私は慌てて立ち上がり、別にいいとつぶやく理叶の声を無視して部屋の外に飛び出した。


ついこの前、潮崎のおじさんたちに『理叶と付き合ってるんだろ』って絡まれて大変だったから、変な疑いをかけられたくない。


私は今のところ、誰とも付き合うつもりないんだってば。


壱華と志勇が結ばれて、手放しに安全が保証される状況になればちょっとは考えるけど。



「待ってください」



いろいろ考えながら理叶の部屋を目指して廊下を歩いていると、後ろから声をかけられた。


振り返ると、凛太郎が私を追いかけていた。


さっきから足音がするなとは思ったけど、まさか相手が凛太郎だとは思わず驚いて立ち止まった。