この世界には平成初期に廃れたはずの暴走族が存在する。


東京のトップは『黒帝』と呼ばれる組織。


傘下を含めると1000人を超えると言われる、巨大なチームだ。


そして本来ならば──壱華に危害を加える悪役。


悪女の実莉が吹聴した嘘を信じ込み、壱華を暴行して絶望のどん底に堕とす最悪な2人組。


だけどそもそも、今の壱華と黒帝にまったく接点はない。



「リボンしてんの可愛いね」

「でっしょ〜?これ壱華に7歳の時もらったの。ちなみに今日のピアスも壱華の手作り」

「うわー……実莉って、顔可愛いのにたまに気持ち悪いよね」

「愛情深いと言ってくれたまえ」



だから気兼ねなく自分をさらけ出して仲良くしてもらってる。


たまにシスコンすぎて気持ち悪がられるけど。