「元気いっぱいだけど考え事してぼーっとしてた」

「考えすぎは病むからな」

「そうそう、ほどほどにしときな」



2人は私の両隣に腰を下ろして一緒に沈みゆく夕日を眺める。


私が普段と違うってこと勘づいてるんだような。


正直私は切羽詰まっていた。


だって、神木兄弟を救うためのタイムリミットは刻一刻と迫っていたから。


なぜなら神木兄弟の悲劇は、志勇が壱華を拾ってしまったことが始まりだったから。


彼らの父親は極道の組長で、荒瀬組と敵対する極山会系の組織だった。


でも、神木は先代のよしみで極山会の幹部の地位にいるだけの、いわゆるお荷物。


さらに下劣な手口で裏社会を支配する極山会に反発して、極山会の若頭・山城の反感を買ってしまっている。


つまり、いつ捨てられてもおかしくない状況にあった神木会は、最悪な形で裏切られてしまったのだ。