「おっ、来た。いらっしゃい実莉〜」

「うぷっ、胸板に圧迫される!」

「はは、実莉ちっさいね」



熱烈なハグで私を迎え入れてくれた赤髪の男は光冴。


おちゃらけてるけど、こう見えて関東トップの不良集団・黒帝(こくてい)のナンバー2、副総長だ。


そんなことより、身長差があるから胸板がちょうど顔の前に来て苦しいんだけど!



「光冴、苦しそうだから離してやれ。実莉が小さいから潰れそうで心配になる」



すると、落ち着き払ったよく通る声が聞こえた。


光冴は「はいはーい」と返事してパッと私を解放する。


こんなに簡単に光冴が命令に従うのはひとりしかいない。


高校生にしては大人びていて、風格がある背の高い男。


金髪なのに清楚感があって、綺麗な目をした中性的な顔のイケメン。


黒帝の総長・理叶だ。