「すごいわね、壱華ちゃんが狙われてると分かっていてそばにいようと決めたなんて」

「豪語するのは分かっていないからだ」

「いいえ、あの目は全部分かってる」



どうやら姐さんはあの姉妹をお気に召したらしい。


刃傷沙汰が当たり前のこの世界で、彼女たちの安全を保証されてほっとした。


なぜなら姐さんの発言は絶大な力を持っている。



「でも不思議な子、10代には見えないのよね」



多少の違和感を覚えていたにしても、好印象であることに変わりはない。


しばらく相川姉妹の身の回りは安泰だろう。



「ああいう子は将来どんな男を選ぶのかしら、気になるわ」



姐さんの発言に、思わず頷いて同感する。


底抜けに明るくて同時に策略家である彼女の恋路はいったいどうなるのか。


実莉さんの動向が気になって、楽しみがひとつ増えた気分だった。