「うっ……」



そして顔を上げると、猛獣のような目付きの男に睨まれていることに気がついた。


あまりの気迫に、私は驚いて声を漏らした。


なんで気がつかなかったんだろう、紘香さんの隣にこんな殺気立った人間がいるっていうのに。


スーツにオールバックで、鋭い目の雄々しい面構えの男。


年齢は40代後半ってところかな。


この人が『金獅子』の異名を持つ荒瀬冬磨、荒瀬組の組長か。


壱華……よくこんな恐ろしいおっさんと対峙できたね。


私、冷や汗が止まらないんだけど。