さらに彼女は私に笑顔を向けていた。


美人なら壱華で見慣れてると思ってた……でも、大人の女性の魅力って10代とは全然違う。


蠱惑的な笑みをモロに食らって、私は完全に目を奪われた。


彼女が荒瀬組の姐さん、通称『金獅子の君』の荒瀬紘香(ひろか)


濃密な色香を含んだ、形容しがたいほどの圧倒的な美貌に、淡い翡翠色の着物が良く似合う。


さすが荒瀬兄弟の母親……とんでもない美人だ!



「どうぞ、お座りになって」



その美しさに見合う、鈴のような綺麗な声。


私、女でよかった……男ならすぐにでも好きになる自信がある。


私は会釈をして、用意された座布団に正座した。