「実莉、気をつけろよ」

「分かってよ理叶、大丈夫だって」

「調子乗って変なこと言うなよ、頼むから」

「光冴も心配しすぎだって!」



6月の中旬、よそ行きの服を着た私を見て、心配そうに詰め寄ってきた理叶と光冴。


2人が心配するのも無理はない。


だって、なぜか壱華と一緒に私まで本家に呼ばれてしまったのだから。


なんでも荒瀬組組長の奥さんが『志勇の彼女とその妹ちゃんに会いたい』と熱烈に切望しているらしい。



「俺たちが気にしてんのは実莉の失言だよ」

「失礼な、そこはちゃんとわきまえてますって」



荒瀬組の姐さんのお願いなら断るわけにはいかない。


味方を増やすチャンス!と流れに身を任せて、組長夫妻のいる本家に行くことになったけど、理叶と光冴は行く前からハラハラしている。


私ってそんなに失言多いイメージ?確かに口が達者な方だとは思うけど。



「じゃあね2人とも、いってきます」



安心させるように笑いかけて玄関を出ると、後ろから「大丈夫かな……」そんな不安そうな声が聞こえた。