「君のおかげで潮崎組も明るくなった。ありがとう」

「こちらこそ、快く居候させていただいてありがとうございます」

「最初はうちで引き入れると聞いて驚いたが、涼の笑顔が増えて万々歳だ」



豪快に笑ったことで、場の空気を一瞬にして自分のものにした祥一郎さん。


さすが大物ヤクザ、支配の方法が自然だ。



「颯馬、その子は大事にしてやりなさい」

「……はあ、なまいきざかりのみーちゃんをですか」

「姉のために、“義”のために命を惜しまないなど、口では簡単でもなかなか実行できない。
彼女は紛れもない“任侠”だ、失うには惜しい」



見下すような目線を向けていた颯馬だけど、祥一郎さんの語った内容を聞いて背筋を伸ばした。



「最善を尽くします」

「いい返事だ。だが、その言葉に嘘偽りのないように」



祥一郎さんは高い視点から颯馬を見つめ、さらに疑っているかのように釘を刺す。


守ろうとしてくれている、と見て間違いないのだろうか。


私、ひょっとしてすごい人を味方にしたのでは?