「てか痩せたね実莉」

「むっ……」



未来への漠然とした不安は、光冴に顔を掴まれたことで消え去った。


乙女の頬を雑に掴むとかなんなの!?


いくらもちもちで触り心地いいからってやめてよね!



「そうなの、病院食があんまりおいしくなくて……」

「そっちかよ」



頬をぶにっと挟まれて、変顔をさせられたままぼやくと、理叶が吹き出すように笑った。


ねえ、私の顔見て笑ったでしょ。


不可抗力なのに笑うとか失礼じゃない?


そう思うけど、理叶の儚げで綺麗な笑顔を見ていると怒りの感情が薄くなった。


理叶の笑顔、好きだな。この笑顔守りたい。



「だから退院したら美味しいものたくさん食べなきゃ!2人とも付き合ってよね」



未来がどうなるかなんて誰も分からない。


だから今を全力で生きるしかない。


不安に苛まれようと、後悔だけは絶対にしたくないから。


いつもの強気の私に戻って笑うと、2人も同じような笑顔で頷いてくれた。