志勇が思ってた10倍くらい壱華のこと好きだった。


なーんだ、杞憂だった。


そうだよ、壱華に惚れない男なんていないんだから。


器量よし、性格よしの私の自慢のお姉ちゃんなんだから、当たり前じゃん。



「……なんだ、腹立つ顔しやがって」

「はいはい、すぐ消えますって。でもその前に、ひとつ約束して」

「約束?」



ニヤニヤ笑いながら観察していた私だけど、表情を改めて志勇の漆黒の瞳を見つめる。


相変わらず何を考えているか分からない。だけど、壱華に対する気持ちは本物に見えた。