退院してからは、思っていた以上に
慌ただしい日々だった。授乳に
オムツ交換にお風呂。寝たと思って
ベビーベッドに置くとすぐに起きる…
それでも奮闘しながらの幸太と初めての
育児は掛け替えのない時間だった。

落ち着いた頃、幸太の家族とウチの
家族を家に順番に招待した。
どちらにとっても初孫の万里は
可愛がられ可愛がられ…
まぁ可愛がられた。万里は幸太似だと
思っていたが、やっぱりそうで幸太の
ご両親は“幸太のちっちゃい頃みたい”と
喜ばれていた。
ウチの両親は久しぶりの赤ちゃんに
ドキドキしているようだった。
それより兄だ!びっくりする位の洋服や
おもちゃを買ってやってきたのだ。

「えっ!?こんなにどうするの?」

「必要かと思って」

「必要だけど、限度があるよ」

「そうか」

そうかって…まぁでも兄も喜んで
くれているのは分かる。なんせ病院に
一番乗りで来てくれた位だ。

「でも沢山ありがとう。万里抱っこして
 あげて?」

万里を渡すと、兄の顔が強張っている
のが分かる。子どもを抱っこすること
なんて無かったからね。

「これで約束果たせたね。
 お待たせしました」

「可愛い」

そこに幸太がやってきた。

「可愛いだろ?」

「だけど、幸太抱っこしてるみたいで
 複雑」

「おいっ!でも自分じゃあんまり
 分からないんだけど似てるらしいな。
 どっちにしても可愛いことには変わり
 ないけど」

「お前気持ち悪いな!?そんなストレート
 に物言うタイプだったか!?」

「素直が1番でしょ。ほら、圭輔も素直に
 なって“万里は幸太に似てて、 
 すっごい可愛い”って言ってごらん?」

そんな会話を聞いて周りはゲラゲラ笑ってる。圭輔は呆れ顔だ…。



万里が1歳になろうとした頃、以前幸太と行った公園にお弁当を持って行った。
暖かい日差しの中、今日も周りには
沢山の家族で賑わっている。万里は
お昼を食べてシートの上でお昼寝中だ。

「前に幸太に連れてきてもらった時、
 周りの家族を見て、私も幸太とあんな
 家族になれたらいいなって思ったんだ」

「なれてるかな?俺は周りのどの家族より
 も幸せだって言えるんだけど」

「私も。自分たちが幸せだと周りからも
 そういう風に見えるのかなって」

「じゃあ間違いなく俺達羨ましがられてる
 な。見せつけてやれ」

っとキスをしようとしたとき

「うぅ うっ ぎゃあ〜」

私たちは顔を見合わせ笑った。
幸太はそっと万里を抱き上げる。

「おっ、万里も一緒がいいか。万里も
 一緒に見せつけてやろう」

万里は幸太に抱っこされてご機嫌だ。
穏やかな日常に包まれ、今日も我が家は笑顔で溢れてる。2人目が出来るのもそう遠くない未来だといいな、なんて思いつつ、
こんな幸せな日々がこれからもずっと
続きますように…。