遊園地デートをきっかけに、私達は
仕事終わりに待ち合わせてご飯を
食べに行ったり、一緒に出掛ける事が
多くなった。幸太は私が学生時代に
遊びに行かなかった事を気にして
くれているのか、色々な所に連れて
行ってくれた。

動物園に行った時には、
“ここには触ると健康運と金運が
アップする動物がいるよ”と幸太から
教えられており、それは是非とも
触らなければと意気込んで行ったら
“金の蛇”でギャーギャー叫んでしまった…それでもこんな機会滅多にないと、
手を伸ばしては引っ込め、
手を伸ばしては引っ込めを繰り返していると幸太はゲラゲラ笑ってた。
そんな幸太も実際触る時は
ビクビクしていて可愛かった。

大きな公園に行った時は遠足みたいに
シートとお弁当を持って行った。
公園の中を他愛も無い話をしながら
散歩して、シートを敷いてお弁当を
食べた。近くには家族で
来ている人たちも沢山いて、
シートの上に寝っ転がりながら、
私も幸太と
“あんな家族になれたらいいな”
なんて思ったりした。
こんな穏やかな時間を迎えられる日が
来るなんて思ってもいなかった。
幸太への想いは募るばかりだ。

この頃から名前呼びが“華ちゃん”
から“華”になり、出掛ける時には
必ず手を繋ぐようになった。 肌を重ねる事が増えたのも自然な流れだった。
始まりが嘘の様な本物の夫婦みたいな
生活に愛されているのではないかと
錯覚してしまう程であった。
でもこれは無理矢理迫った婚姻関係だ。
これまでも勝手に勘違いをしてその度に
ショックを受けてきたではないか。
幸せを感じつつ、勘違いをしては
いけないと自分に言い聞かせていた。