両家顔合わせの時に、
すぐに入籍するが、今の所、
結婚式は行うつもりが無いこと
を伝えた。表向きは幸太の仕事が
落ち着いてからと伝えたが、
実際は私がしなくて良いと言ったのだ。
幸太からは元々仕事が立て込んでいて
すぐに結婚式は挙げられないと
言われていた。私は挙げられないと
言われたのに、するつもりでいてくれた
事が嬉しかった。だからこそ、
“無理矢理結婚を迫ったのだから、
幸太の気持ちが固まるまではしなくて
良い。万が一、私に気持ちが
向くことがあったら、その時は挙げて
欲しい”と伝えた。結婚式を挙げないと
言った時は両家の両親共に驚いていたが、
2人が決めたのならと、それなりに
終始和やかな雰囲気であったと思う。

幸太は多忙の中、頻繁に連絡くれた。
七海さんとの関係がどうなったかは
知らない。幸太も話さなかったし、
私も聞かなかった。幸太の気持ちに
反してこの立場を強要したんだ。
今更だがこれ以上、幸太の気持ちを
縛り付けるような事はしたくなかった。
おざなりにされるかと思っていた
関係だったが、多忙の中、時間を
作ろうとしてくれる優しさに、
たとえ義務感からでも嬉しく感じた。
だから私も結婚した後に少しでも
幸太をサポート出来る様に料理教室に
通いはじめた。幸い卒業間近で
卒論の提出も済み、授業も最低限
しか取っていなかった為、
今まで勉強に当てていた時間に余裕が
出来、丁度良かった。
新居と入籍日の話をされた時に、
仕事が一段落するまで新居は幸太が
現在一人暮らしをしているマンションに
して欲しい、そのかわり入籍日は
私が良い日にしようと言われた。
新居は幸太のマンションで問題無いが、
ベットだけは新しい物を購入したい事を
伝えた。これだけは譲れない。
七海さんと一緒に寝たであろう
ベットで寝る気には到底なれない。
幸太も察したのであう、
“大きいのを買おう”と言ってくれた。
入籍日は決めていた。
幸太は覚えてないだろうが、
幸太と初めて会った日。
この日から始まった私の恋。
まさかこんなに長い期間、
想い続けるとは思ってもいなかった。
無事に大学を卒業した年の春。
片想い歴9年目、私は片想いのまま
結婚した。