黒い龍は小さな華を溺愛する。


諦めた紫藤くんはなんだか不服そうな顔をしている。


「宇崎さん、今度は俺とごはんね?」


「は、はい!」


「いーから早く帰れ」と、常盤くんが紫藤くんの首を掴みながら言う。


「いってぇー!なんだよお前今日手加減しねぇなぁ!?……宇崎さん、またねー!」


「はいっまた……」


遠ざかる紫藤くんの後姿を見ながら、常盤くんと2人きりになってしまったことにまた緊張しだす。


話ってなんだろう……。


さっきの相羽くんのこと?

〝別れてない〟って。

あの人はどんなつもりで言ったんだろう。


「バレるとめんどくせーから裏から帰るか」


「は、はい!」


もう本鈴は鳴ってるし、常盤くんの後ろをコソ泥のように着いて行く。


その様子を振り返って見ていた常盤くんは、笑っていた。


なんだか私の前でよく笑ってくれるようになった。


最初は怖いイメージしかなかったけど、もともとよく笑う人なのかな……。