黒い龍は小さな華を溺愛する。


〝背負ってるもの〟というのが気になった。


私は常盤くんの事全然何も知らないんだな……。


「しゃべってたら時間やべーな、始めるか」


「宜しくお願いします!」


さすが常盤くんと仲良いだけあって、紫藤くんも気さくで話しやすい。

でも髪を触られた時、ふと襲われた時の事を思いだしてしまった。

やっぱりすぐには忘れられないんだ……。


「んー、夕晴からだいたい聞いてたけど前髪整えて全体的に軽くしたらいいかもしんないね、髪のケアとかしてる?すげーボロボロよ?」


「いえ……全然してないです」


恥ずかしい。子供のころからお母さんに何もしなくていいって言われてたから、そういうの気にしたことなかった。


「じゃこれあげるから使ってみたら?うちの美容室に置いてるヘアパックとオイル」


「え!じゃあ今度バイト代入ったらお支払します!」


「あー、バイトするんだっけ?」