黒い龍は小さな華を溺愛する。


「しかしさー、夕晴が2日続けて学校来るとかってレアなんだけど。宇崎さんの影響?」


「え!?私は何もっ」


「だって2人なにあったかしらねーけど、急激に距離縮めてねえ?」


常盤くん、歩道橋での出来事は紫藤くんに言ってないみたい。

少しホッとした。


「私こんな感じだし、人と関わるのが苦手で……そういう悩みを聞いてもらってたんです」


「へえ?あいつ困ってる奴とか放っておけねぇたちだからなぁ……」


どうしよう、あのこと聞いてもいいかな……。


「あの……常盤くんって〝アタマ〟ってやつなんですか?」


「え?」


「昨日送ってもらった時、暴走族と出くわして……」


「あー、聞いたわ。やっぱ秋元になんか言われたんだろ?」


「はい、常盤くんは喧嘩も強くて黒龍って言われてるとか……」


常盤くんのこと知りたいけど、知りたくないような……。


すると紫藤くんが髪を切る準備をしながら鼻で笑った。