黒い龍は小さな華を溺愛する。


「やっぱり首席は相羽くんじゃない?」


突然近くにいた女子がそう言った。

すると次々に

「頭もいいし、こうやって誰にでも優しい神様みたいな人だし。トータルで考えると相羽くんぽいよね」

「確かにー!相羽くん、そうなんでしょ!?」

と騒ぎ出す。

それに対して相羽くんは「ハハハッ」と笑い返すだけだった。


違うのに、否定しないの?

こんな悪魔みたいなやつが首席なんかじゃない。

首席は……。


ガラッ


「ほら席に座れ!」


その時担任の先生が来た。


「なんだ、この教室ドブくさいな?」


異臭を感じた先生が怪訝な顔でみんなに聞く。


「宇崎さんじゃないですかー?上靴池に落としたみたいでー」


誰かがそう言うと、先生は「なにをやってるんだ」と私を睨んだ。


「昨日からどうしたんだよ宇崎。ふざけなきゃ池なんかに落とさないだろ!?」