黒い龍は小さな華を溺愛する。


「常盤くん!肘から血がっ」


「あ?」


振り返った常盤くんが自分の肘を見て、「大したことねーよ」なんて平気そうな顔で言っている。


こんなに血が出てるのに大したことないわけない。


さっき私を抱き上げた時痛いって言ってたし、私を庇って倒れたんだから相当な衝撃だったはずだ。


「すみませんおじさん!救急箱とかないですか!?常盤くん怪我してて……」


「え!?家にはあるが……ここの2階だけど今お客さんいるからな、夕晴と2人で行けるかい?」


2人で……。

でも私のせいで怪我しちゃったんだし。



「わ、わかりました!常盤くん、一緒に行きましょう!」


「……わかった」



素直に承知してくれた常盤くんと共にラーメン屋の裏口から2階へ登った。


古びた階段を登ると玄関があり、常盤くんが慣れた手つきで玄関の扉を開けた。


「お邪魔しまーす……」