黒い龍は小さな華を溺愛する。



なにこれなにこれ……。


こんな感覚知らなかった。


ちょっと怖いけど……


なんて気持ちがいいんだろう。


それに常盤くんと密着してる部分が恥ずかしくて。


変にドキドキしている。


どこに行くんだろう……。


そんなことを思っているうちに、もう目的地に着いたらしい。


路地裏にあるラーメン屋の前で止まった。


看板には〝鳳凰(ほうおう)〟と書かれている。


「ラーメン屋さん……?」


「俺んちのようなもん」


そう言って私の頭からヘルメットを取った。


一緒に来ていた常盤くんの友達も「腹減ったー!」と言いながら次々と中へ入っていく。


不思議に思いながらも常盤くんの後を追いかけて暖簾をくぐると、ラーメンのいい匂いが鼻をかすめた。


「おう!夕晴おかえり!」


そう出迎えてくれたのは厨房にいたおじさんだった。


おかえりってことは……お父さん?


でもさっき『俺んちのようなもん』って言ってたしどういうことだろう。