黒い龍は小さな華を溺愛する。



歩道橋の階段を下りると数台のバイクが停まっていた。


でも普通のバイクではない。

改造してるのか、見たことがない形や色ばかりだ。

そこに一人だけバイクに跨ったままの人がいた。

スマホに見入ってたが、顔を上げてこちらに気づく。


この人見たことある……。


「あれ?この子、うちの学校の子じゃね?」


私の後ろにいた常盤くんに向かって聞いていた。


やっぱりそうだ、違うクラスだけどこの人も外見が目立つから知ってる。


紫藤宗佑(しどうそうすけ)くんだ。


常盤くんと仲良かったんだ……。


「そう。ちょっと話すっから連れてく」


「……へぇ?この子と?」


紫藤くんは私のことをじろじろと見てくるから、つい顔を逸らしてしまった。



「これ被って」と、常盤くんはバイクに掛けられてあったヘルメットを私に被せる。