黒い龍は小さな華を溺愛する。



この人は悪魔だ……。


なんで今まで気付かなかったんだろう。


相羽くんの何を見てきたのか……。

ショックで体が動かない。


「ニャーン……」


その時木の陰から猫が歩いてきた。


「ミケ……いたの?」


この猫は時折学校周辺に姿を見せる野良猫で、三毛猫だからミケと勝手に名づけて呼んでいた。


飼い主に捨てられたのか最初はガリガリで死にそうだったミケも、餌を何度かあげてるうちにふっくらしてきて私に懐いてきた。


唯一の友達でもある。


「ごめんね、今日は餌持ってきてないや……」



私の膝にすり寄ってくるミケが涙で見えなくなる。


あんな人のために泣きたくなんかないのに。


バカだな……どうして信じてしまったんだろう。


私なんかを誰も好きになるはずないのに。


しばらく動けなかったけど、人の声がして私は慌てて立ち上がった。


そして近くのコンビニで猫缶を買ってミケにあげた。